国立がん研究センターがん対策情報センターのホームページ『小児がん情報サービス』より、小児がんの基礎知識や標準治療などが閲覧できます。
白血病、再生不良性貧血などの小児血液疾患、難治性ウイルス感染症および原発性免疫不全症を中心に診療を行っています。当院では、全国規模の小児白血病、悪性リンパ腫などのグループスタディーへの参加による治療成績の向上を目指しています。他の小児がんもそうですが、これらの診断・治療に相当の熟練を要する疾患は、発生頻度としては大変稀です。
そのために日本を縦断する研究グループを組織し、診療情報を交換し合うことにより、より的確に病態把握、診断、治療法の決定ができるシステムを構築しています。当センターは、そのようなグループに参加し、最先端の知見に基づいた治療法を提供しています。
小児白血病と悪性リンパ腫の治療成績の向上には目覚ましいものがあり、その多くが治る病気になってきました。そのため、治療終了後の患者様の生活の質(QOL)が注目されています。成長過程にある小児に対し、病気を治すためには化学療法や放射線療法がどうしても必要になります。その長期的影響を診療するため、当院では小児腫瘍専門医を中心として、小児内分泌医、小児循環器医、産婦人科医、看護師や公認心理師などの協力を得て、長期フォローアップ外来を週2回設置しています。
神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、肝芽腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、脳腫瘍など、あらゆる固形腫瘍に対応しています。これらの病気は抗癌剤を使った化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植などによって治療しますが、当センターは全国規模のグループスタディーに参加し、治療成績の向上を目指しています。また、脳脊髄腫瘍の診療体制についても、これまでの脳神経外科中心の診療体制から、小児科も参画する共同診療体制を取り、月1回の定期的な合同カンファレンスを行っています。
東北大学病院では小児血液専門医、看護師、公認心理師、薬剤師、栄養士が小児骨髄移植チームを作り、難治性の血液疾患と小児がん症例に対して、造血幹細胞移植を施行しています。近年の年間移植数は10~15例となっています。当院で実施している造血細胞移植の大部分は、良性および悪性の血液腫瘍性疾患が占めています。このほかに、進行期の小児固形系腫瘍例への自家移植が行われていますが、最近では同種移植実施例も増えつつあります。最近では、良性疾患を対象とする骨髄非破壊的前処置による移植(reduced-intensity stem cell transplantation;RIST)に力を入れており、より軽い前処置で完全キメラを達成しうる方法を模索中です。よい成績が得られるようになっていることから、患者さんの長期的なQOLという観点からも、RIST症例を増やしていきたいと考えています。
2021年 | 2022年 | 2023年 | |||
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年間入院 患者数の状況 |
小児がん入院患者延べ数 | 243 | 251 | 288 | |
診療実績 (初発症例数) |
造血器腫瘍 | ||||
急性リンパ性白血病 | 4 | 9 | 5 | ||
急性骨髄性白血病 | 0 | 0 | 0 | ||
まれな白血病 | 0 | 0 | 0 | ||
MDS/MPDのうちCML | 1 | 0 | 0 | ||
MDS/MPDのうちCMLを除く | 0 | 0 | 0 | ||
非ホジキンリンパ腫 | 2 | 2 | 0 | ||
ホジキンリンパ腫 | 2 | 0 | 0 | ||
その他のリンパ増殖性疾患 | 0 | 0 | 0 | ||
組織球症(HLH) | 0 | 0 | 0 | ||
組織球症(LCH) | 1 | 1 | 1 | ||
その他の組織球症 | 0 | 0 | 0 | ||
その他の造血器腫瘍 | 0 | 0 | 0 | ||
Down症TAM登録 | 0 | 0 | 0 | ||
計 | 10 | 12 | 6 | ||
固形腫瘍 | |||||
神経芽腫瘍群 | 2 | 2 | 3 | ||
網膜芽腫 | 2 | 2 | 1 | ||
腎腫瘍 | 1 | 0 | 1 | ||
肝腫瘍 | 0 | 3 | 1 | ||
骨腫瘍 | 2 | 2 | 0 | ||
軟部腫瘍 | 2 | 2 | 5 | ||
胚細胞腫瘍(脳・脊髄病変以外) | 2 | 2 | 3 | ||
脳脊髄腫瘍 | 19 | 21 | 21 | ||
その他の固形腫瘍 | 6 | 4 | 5 | ||
計 | 36 | 38 | 40 |